障害年金を請求するための3つの要件とは

障害年金を受給するためには、3つの要件全てを満たす必要があります。

■障害年金の初診日における

  • 年金保険料の納付要件 (必ず年金事務所で確認を!)
  • 被保険者要件 (国民年金→障害基礎年金、会社員・公務員→障害厚生年金)

■障害認定日(初診日から1年6月後)・請求日(現在)における

  • 障害の等級要件 (障害基礎年金では2級以上、障害厚生年金では3級以上)

まずは、障害年金の初診日を確認することから始めよう!

障害年金を請求しようと思った時に、真っ先に始めることは、「障害年金の初診日」を確認することです。

初診日にどの年金に加入していたか?により、請求できる障害年金の種類や支給される年金額が変わるからです。

保険料の納付要件も、初診日の前日における納付要件を審査しますから「初診日はいつ?」を確認しなければ、先に進めません。

また、初診日を起算日として1年6カ月後を「障害認定日」として、障害認定日における障害の程度が、障害年金の認定基準に該当するかどうかを審査するため、起算となる初診日を確定しないと、障害認定日もいつかわかりません。

 

障害年金の初診日っていつ?

多くの方が、初めて病名がわかった日を初診日と思いがちです。

障害年金では、「障害の原因となった傷病につき、初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日」を初診日と定義しています。

例えば・・・

■ 不眠が続き、近所の内科を受診して精神科を紹介してもらった

 → うつ病の初診日は、近所の内科を不眠で受診した日

■ 微熱が続き、会社の近くの内科へかかり、専門医を紹介してもらった

 → 難病やがんの初診日は、会社近くの内科を受診した日

■ 健康診断で指摘され、会社近くの内科で再検査を受け、治療を始めた

 → 再検査のために病院を受診した日

何年も前のことになると、受診したことを忘れているかもしれません。

症状の経緯や今までかかった病院、受診した日を具体的に思い出してください。

わからなければ、記憶ではなく、お薬手帳などの「記録」に頼ってみることです。

 

<実は難しい初診日の決定>

1 社会的治癒期間: 過去の傷病が治癒し、同一傷病で再度発症した場合は、再度発症し医師の診断を受けた日が初診日となります。
→ 一旦回復して数年間(5年以上くらい)、通常の生活に戻った場合は、回復していた期間を「社会的治癒期間」と認められることもあり、初診日を後ろにずらすことができます

→ 社会的治癒期間と認められない場合は、傷病が継続しているものとして同一傷病となります。


2 傷病名が確定した日ではなく、症状により初めて受診した日が初診日です。
→ 「難病」の場合は、確定診断されるまで転医を繰り返すことが多々あります。最初の診断を受けた医師を記録しておいてください。

→ 「発達障害」の場合も、発達障害と診断された日でなく「初めて心療内科や精神科を受診した日」が初診日となります。


3 先天性疾患の場合、症状が発現せず、医師の診察を受けることなく推移したときは、症状が発現して初めて診察を受けた日が初診日になります。先天性疾患であっても、生年月日が初診日ではありません。ただし、知的障害の場合のみ、生年月日を初診日とする取り扱いがあります。

 

4 健康診断の記録は保管しておく。

内部疾患の場合、健康診断で異常を指摘されたか、それとも、異常なしで経過していたかは、社会的治癒を主張する際に重要な証拠になります。また、糖尿病などで初診日が何十年も遡り、確認できない時に健康診断の結果は、重要な資料に値します。 

医療機関のカルテ保存期間は5年となっています。リスク管理の視点からも、健康診断の記録は自分でも保管しておきましょう。あとになって、役に立つことがあると思います。 

【最後に】どこが障害年金の初診日になろうとも、保険料納付要件には引っかからないようにしておくことが重要です。

 

障害年金の保険料納付要件とは?

 障害年金の保険料納付要件の確認には細かいルールがあるため、素人判断は禁物です。

必ず、年金事務所で確認してください。

※弊事務所で代理する場合は、委任状をいただき、弊事務所で確認します。

 

障害年金の納付要件の確認は、「初診日の前日」を基準に行います。

初診日の前日としているのは、当日になって保険料を納めてもダメということ。

初診日に受診する前や受診した後に、保険料を支払っても納付要件では認められません。

また、保険料を後納した場合も、初診日の前日までに納付した分のみ、障害年金の納付要件に反映されます。※将来の老齢年金や別の傷病での障害年金には反映されます。

 

具体的には、「初診日の前日において、初診日の属する月の前々月」までの納付状況が以下のいずれかに該当するかどうかを、年金事務所で確認します。

  • 20歳から初診日の前々月までの間に、3分の1以上の未納期間がないこと。
  • または、初診日の前々月までの直近1年間に滞納期間がないこと

 (初診日において65歳未満の人に限る)

 

 

年金保険料の納付が困難な場合は、市区役所などで「免除申請」の手続きを行っておくと、保険料の納付要件はクリアできます(初診日の前日までに手続きをすること)。

 

障害等級の認定は、障害認定日and/or請求日の診断書で行う

障害年金の初診日から1年6か月後が「障害認定日」です。

障害年金は、長期間(1年6ヶ月以上)障害の状態が続いている場合に支給されるものだからです。

 障害認定日から3ヶ月以内に受診していて、当時の診療録があり、障害の状態(等級)に該当していれば、障害認定日請求を行い、遡及して障害年金を受給することができます。

 

以下に該当していれば、1年6カ月経たなくても、その日が障害認定日となります。

1 人工透析を行っている場合は、透析開始から3カ月を経過した日

2 人工骨頂・人工関節をそう入置換した場合は、そう入置換した日

3 心臓ペースメーカー、ICD,人工弁を装着した場合は、装着した日

4 人工肛門、新膀胱の造設、尿路変更術を施術した場合は、施術した日

5 切断、離断による肢体の障害は、切断または離断した日(障害手当金は創面が治癒した日)

6 喉頭全摘出の場合は、全摘出した日

7 在宅酸素療法を行っている場合は、在宅酸素療法を開始した日

 

障害認定日に、障害の程度に該当する状態であれば、障害認定日請求(遡及請求)ができます。

 

障害認定日に障害の程度に該当しなかった場合は、現在の症状で事後重症請求します。

 

障害等級の認定は、日本年金機構の「障害認定基準」により行われます。

障害認定基準は、日本年金機構のホームページで確認できます。

 


最も重要な医師の障害年金診断書

言うまでもないことですが、医師の障害年金診断書は、最も重要な書類です。

しかし、書き漏れなどがあると、年金事務所で受付すらしてもらえない事態に陥ります。

社会保険労務士が障害年金の請求を代理することの一番のメリットは、下記のチェックができることです。

  • 障害認定基準に沿った診断書かどうか
  • 請求者の日常生活や就労の支障が反映されているかどうか、  
  • 発病日・初診日・現症日などが正しく記載されているかどうか、 

上記をクリアした障害年金診断書を提出しないと、正しく認定されることが難しくなったり、日本年金機構から返戻があり認定時期が遅れたりすることがあります。

 

そのため、よしの社労士事務所では、診断書が出来上がった時にすぐに書き漏れ等がないか等をチェックして、必要があれば本人や家族を通じて医師へ補正を依頼することもあります。単純な日付の記入漏れ等は、その場で補正を依頼します。

そうすることで、正しく認定されて障害年金を受給する可能性は高くなります。

障害年金専門のよしの社労士事務所へご相談ください。