2017年6月9日に厚生労働省で障害年金の認定基準(差引認定)の見直しに関する専門家ヒアリングが開催されました。
差引認定見直しのきっかけとなったのは、以下の裁判でした。共同通信の記事から抜粋します。
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15年に訴訟を起こしたのは大阪府内の男性(35)。生まれつき両脚に障害があり、障害基礎年金2級(月約6万5千円)を受給していたが、会社員時代の交通事故で障害が重くなり、最重度の1級の状態になった。 ところが、生まれつきの障害は差し引き認定によって考慮されず、事故の障害だけで最も軽い障害厚生年金3級と判定され、支給額が月約4万9千円に減った。訴訟は係争中だが、国は誤りを認め、支給すべきだった約8年分の約600万円を男性に支払った。昨年12月、この問題が国会で取り上げられ、厚労省が見直す考えを示していた。
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このような不合理な差引認定は、昭和61年から現在までの約30年間で74件発生したそうです。
この74件を分析し、差引認定を行ったとしても不合理な結果にならないように、差引残存率を調整しました。
さらに、調整しても不合理な結果になる場合は、「現在の障害の程度」と同じ等級とする、ことになります。
したがって、差引認定そのものは障害認定基準に残りますが、差し引いて不合理な結果にならないように調整されました。
新しい障害認定基準は、パブリックコメントの後、今夏に改正される予定です。